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相続トラブル事例①

①「遺言は正しいのに…」弟の妻のひと言で争族に

田中家の父・一郎さんが亡くなり、長男の健さんと次男の徹さんの2人が相続人になりました。
公正証書遺言には「自宅は長男・健に相続させる」とはっきり書かれていて、父の介護をずっと担ってきた健さんにとっては、当然の結果のように思えました。

実は、徹さんも「兄貴が看てくれたんだから、家は兄でいい」と理解していました。
ところが、四十九日が終わった頃、徹さんの妻・美咲さんがこう言い出します。

「どうしてうちの人には何も残らないの?不公平じゃない?」

徹さん自身は納得しているのに、「夫の取り分がゼロに見える」ことに強い不満を持ったのは、美咲さんでした。
そこから話し合いの場では、美咲さんが前に出て感情的に反発し、健さん夫婦は「お嫁さんが怖い」「何を言っても責められる」と感じ、だんだん顔を合わせることすら避けるようになってしまいます。

実は、父が生前に「なぜ家を長男に渡したいのか」「次男にはどう配慮するのか」を家族に説明したことは一度もありませんでした。
介護の負担や、これまでの援助、長男への信頼など、父なりの理由はあったはずですが、それは父と健さんの胸の内にしかなく、徹さん夫婦にはまったく伝わっていなかったのです。

その結果、

  • 「法的には問題ない遺言」なのに
  • 「説明・共有がなかったために」
  • 「第三者(配偶者)の感情」がきっかけで、仲の良かった兄弟の関係がギクシャクしていきました。

このケースの問題点
生前に「遺言の内容と理由」を家族に説明せず、遺留分や感情面への配慮をしなかったため、後から配偶者の不満が爆発し、「本来は揉めなくてよかった相続」が争族になってしまったこと。